司馬懿 仲達

前門の狼、後門の悪魔
 179年生まれ。  

 司州・河内郡出身で、一族は代々漢の高官を輩出してきた名門。また、七人の兄弟は司馬懿を含め俊才と噂され、字に全て達が付くことから、司馬の八達と呼ばれていた。  

 人材収拾に目がなかった曹操からの誘いを幾度も断るも、遂に折れて曹操軍に加わる。文官として功を為し、曹操の太子お付きの者になるなど、順調に昇進していった。  

 軍略においての献策も認められるようになり、北上する荊州の関羽軍を呉に打診して背後を衝かせる策も提案するなど、軍事面においてもその才能を発揮していった。  

 曹操死後は北伐を敢行した諸葛亮率いる蜀軍を追い返す活躍を見せ、その地位を確立していくも、逆に警戒されて中央から左遷してしまう。

しかし優秀であった息子たちの助力もあり、魏内部でクーデターを起こすことに成功。魏の権力を握り、三国を統一する晋の基礎を築く。

正妻である張春華は、恐妻家として知られている。


        〜不変の狼顧〜

 司馬家の次男である司馬懿仲達。彼の正妻である張春華は、名門である夫を押し上げ、高みを目指そうと画策していた。

 結婚して子供も生まれ、不自由のない生活を送る司馬懿と張春華。しかし、春華は今の生活に到底満足していなかった。

 曹操からの書簡に細工をし、司馬懿を無理やり仕官させ、司馬懿の趣味である庭園すらも焼き払い、仕事に従事させようと動く。

 そしてある日、春華は気付く。いつの間にここまで自分たちの住む邸宅が広くなったのかと。そして、司馬懿が帝になるということを示唆する息子の言葉に驚愕する。だが、その言葉にも全く動揺のない司馬懿。

 春華が望んでいたのだろう?

 その司馬懿の言葉に全てを悟る春華。自分の小さな虚栄心のために、趣味さえも奪ってきた自分のために、夫は帝にさえなろうとしているのだと。

 諸葛亮率いる蜀軍の出鼻を挫くため、戦場へ赴こうとする司馬懿。彼の元に、贈り物が届けられる。それは、かつて春華に焼かれたはずだった庭園に咲いていた、一輪の花だった―――。



 他登場作品


     なし
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